毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、加古里子さんの『ゆきのひ』。1966年に月刊「こどものとも」の一冊として刊行され、翌1967年に「こどものとも傑作集」としてハードカバー化されたロングセラーです。
りっちゃんは、雪深い北国に暮らす女の子。雪合戦やかまくらといった遊びで、子ども達が雪を楽しむ一方、屋根の雪おろしや、雪で線路が埋まると村の人が総出で助け合うなど、雪国の暮らしの過酷さも描きます。
お話は、雪国での初雪のシーンから始まります。子どもの小さな手の平に雪が落ちて消え、あーんと開いた口の中にも落ちて消えます。子ども達は雪合戦にそり、スキー、かまくらと、雪の中での遊びを満喫しますが、そういった雪の楽しさだけでなく、別の側面もしっかりと描くのが加古さん流。子ども達が雪遊びではしゃぐ傍らで、少しくらいの雪でもいつもと変わらずに働く大人達の姿も丁寧に描かれています。
後半には激しい吹雪で電線が切れたり、線路が埋もれてしまうという雪国ならではのトラブルも発生。それでも雪国の人達はへこたれず、吹雪の中で助け合います。雪国での厳しい暮らしが、村人達の支え合いによって成り立っていることがわかります。寒さの中に、ぬくもりを感じさせる絵本です。
もう四半世紀以上前につくられた絵本なので、現在の雪国での暮らしとは異なるはずですが、雪の厳しさ自体は今も変わりはないでしょう。作者の加古さんも雪国育ちで、「雪のことを思いきり書きたい」と願ってこの絵本が実現したとのこと。(かこさとし公式サイトより)。絵本の中の雪国は、日本海に面した地方、特に秋田、新潟、富山、福井地方の状況を参考にしつつも、特定の一地方には限定せずに描かれたそうです。
<ミーテ会員さんのお声>
『ゆきのひ』は、何とも時代を感じさせる絵本で、雪国や昔の様子がよくわかった。この絵本を読む直前に『おかしなゆき ふしぎなこおり』という写真絵本を読んで、「ゆきひも」や「じゅひょう」などを見ていたので、子ども達も理解しやすかったのだと思う。私達の住む地域にはなかなか雪が降らないし、降っても積もることがないので、絵本で雪を知ることができればと思った。雪が降った時が楽しくなるだろう。(5歳1か月の女の子と8歳11か月の男の子のママ)
加古さんの絵本で雪と言えば、もうひとつ忘れてはならないのが『だるまちゃんとうさぎちゃん』。こちらは打って変わって、雪だるまや雪うさぎをつくったり、ウサギの手袋人形をつくったりと、遊びがいっぱい詰まった絵本です。合わせて読んで、雪と親しんではいかがでしょうか。
▼加古里子さんのインタビューはこちら
「子ども達が賢く健やかに育つように」
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