イチ押し絵本情報

おいぼれ機関車の行く末やいかに(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.169)

2018年2月8日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 おいぼれ機関車の行く末やいかに

今回ご紹介する絵本は、阿川弘之さんの文、岡部冬彦さんの絵による『きかんしゃ やえもん』。初版は1959年。アニメ映画にもなったミリオンセラーです。

長い間働いて年をとり、すっかりくたびれてしまった蒸気機関車のやえもん。同じくらい年寄りの小さな客車を引いて、小さな駅と大きな駅との間を行ったり来たりしています。ある日、町の駅で電気機関車から「まっくろけのびんぼうぎしゃ」と馬鹿にされたやえもんは、黒い煙と赤い火の粉を吐いて怒りながら帰路に着きました。そのせいで、田んぼに火事が起きてしまいます。

見開き

人々からの怒りを買ったやえもんは、くず鉄にされることになりますが、そこに交通博物館の人がやえもんを譲ってほしいとやってきて…。

擬人化された機関車が主人公というと、真っ先にトーマスを思い浮かべる子どもが多いかと思いますが、「きかんしゃトーマス」シリーズの原作である「汽車のえほん」が日本で翻訳出版されたのは1973年なので、日本においてはやえもんの方が先輩です。キャラクターとしても、いたずら好きでやんちゃなトーマスとは打って変わって、やえもんは“おじいさん機関車”といった風体。古いものが新しいものへと変えられていく現実を描いているため、物語の奥には何とも言えない哀愁も漂います。

大人が読むとリストラ寸前のサラリーマンを連想してしまうようなお話ですが、この絵本が長年、子ども達に愛されてきたのは、やえもんが非常に人間味あふれる機関車だからかもしれません。「ぷっすん、ぷっすん、ぷっすん」「しゃっ しゃっ しゃっ しゃっ しゃくだ しゃくだ しゃくだ…」という、蒸気の擬音のような怒り口調がユニークで印象的ですが、表情も実に豊かで、笑ったり、怒ったり、困ったり、泣いたり…と、物語の展開とともにくるくると変わっていきます。子どもはその姿に共感し、様々な感情を疑似体験するのでしょう。

<ミーテ会員さんのお声>
ママが小さい頃に読んだ本で、息子にも絶対読んであげようと思ってました。今はトーマスが人気ですが、「やえもんがいたのに!」と悔しく思っていたのです。絵の中身などは昔の時代背景ですが、またそれもよいかな、と思います。

息子は、やえもんが事件を起こした後、「煙突にバケツをかぶせようか?」「くず鉄にするか?」などと駅員さんがみんなで会議をしている場面を見ると、ひとつずつ「ダメ、ダメ!」と、真剣な顔でやえもんをかばっています(笑) 家の近くに交通博物館があってよく行くので、機関車や電車の絵本は特に気になるようです。(3歳10か月の男の子のママ)

やえもんのモデルとされる国鉄150形蒸気機関車(1号機関車)は、イギリスから輸入された日本初の蒸気機関車で、現在は、埼玉県の鉄道博物館で見ることができます。絵本が気に入ったら、実物を見に出かけてみるのもいいですね。


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