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カエルが空を飛ぶ!? 緻密な絵が不思議な映画のよう(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.150)

2017年9月21日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 カエルが空を飛ぶ!? 緻密な絵が不思議な映画のよう

今回ご紹介する絵本は、デヴィッド・ウィーズナーさんの『かようびのよる』。1992年、コールデコット賞受賞作品です。

ある火曜日の夜、蓮の葉に乗ったたくさんのカエルが、池から街を目指して空を飛び始め…。夜から夜明け、翌朝の街の混乱を、最小限の文章とリアルな絵、映画のようなスリリングな場面展開で描いた不思議な味わいの絵本。

見開き

静かな夜、水辺で目を閉じたカエル達。一匹が乗っていた蓮の葉ごと宙に浮きだし…不思議な一夜が始まります。文字は最小限、時間の流れを教えるだけです。反対に語って余りあるのが、絵。カエル達の愉快な、得意げですらある表情や動き、それを見たカメやカラス、人、犬の驚愕の表情。サイレント映画を見ているようです。

 

映画のようと感じさせる理由は、リアルな絵だけではなく、特徴的なコマ割りにもあるでしょう。1ページを3つに割って時間による変化を見せたり、ズームインしたりしながら話をすすめ、一気に見開きの見せ場へ持っていくことで、ダイナミックな動きを感じるつくりになっています。

この不思議な絵本がどうやって生まれたのか気になるところです。ウィーズナーさんはコールデコット賞受賞の際のスピーチで、さまざまなカエルのスケッチを描く中で、「睡蓮の葉に乗ったカエルが、50年代のB級映画の空飛ぶ円盤のように見えた」と話しています。そこからカエルが空を飛ぶことを思いつき、一気に物語をつくりあげたそうです。

<ミーテ会員さんのお声>
『かようびのよる』は、ほとんど絵だけの絵本です。読む部分は、時刻だけで…。なのに、絵がスゴイからなのか、子ども達のお気に入り。最近は、私だけでなく息子達も、絵にいろんな音などをつけて読んで、楽しんでいます。(3歳7か月と7歳10か月の男の子のママ)

実際にアメリカで空からカエルが降ってくるという現象があったんだとか。事実は小説より奇なりを地で行く出来事に、読み聞かせを聞く子ども達も、より興味をひかれるのではないでしょうか?


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