毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、やぎゅうげんいちろうさんの『かさぶたくん』。1997年に月刊科学絵本「かがくのとも」として発表された作品です。
かさぶたができると、ついついとりたくなってしまうもの。でも、無理にとったらいけません。かさぶたが何でできているのか、どんな働きをしているのかがわかる絵本です。
「とりたいなぁ とりたいなぁ かさぶた とりたいなぁ」。絵本を開いて最初の扉ページに、タイトルとともに手書きの大きな赤い文字。インパクトたっぷりです。「かさぶた」ということばを聞いて、浮かんだ思いがそのまま字になってしまったかのようです。
身のまわりのことを好奇心をもって追いかける「かがくのとも」シリーズで、やぎゅうげんいちろうさんは本書の他に『はなのあなのはなし』、『おへそのひみつ』などを手掛けています。いずれも徹底しているのは、子どもの目線から描かれていること。
ちょっと自慢気に自分のかさぶたとケガの顛末を話す子ども、「かさぶたって何?」と聞かれて「ち」「ごみ」から「ぶたにく」「きずのうんこ」まで! しまいには、かさぶたを食べたことがあるなんて子まで登場します。
当然科学絵本ですから、この後ちゃんと種明かしがなされます。血が固まったものであり、ばいきんが入るのを防いでいること、下では新しい皮膚ができていること…。
しかし、知識と同じかそれ以上にページが割かれているのは、子どもが身近なことに興味をもち、好奇心から行動し、自由に発想する姿。大事なのはたくさんの「不思議」に気が付くこと、そこから自分なりに考えること、そんな哲学が感じられます。
子ども目線で、身近な疑問に挑戦する。その姿勢こそ、子どもからも親からも支持され続けている理由なのでしょう。
<ミーテ会員さんのお声>
「あぶないよ~!」という声に耳を貸さず、ダイナミックにコケた息子。あまりに痛がって泣くので見ると、手のひらの皮がベローンと剥けていた。念のため医者に行くと、ホッとしたことに大事ではなし。ただ皮膚がくっつくまでは絆創膏などでばい菌が入るのを防ぐようにと言われた。しかし、怖がって傷口すら見せてくれない…。
この話をしたら、友人が絵本『かさぶたくん』を教えてくれた。息子は自分の手のひらの傷をチラチラ見ながら、じ~っと聞いていた。ただ、「かさぶたを無理矢理はがしたりすると、そこからばい菌が入ってくる」というところで恐くなったのか、私の膝の上に乗ってきた。「ね? ちゃんと、かさぶたくんが来てくれるまでは、ばい菌が入らないように絆創膏を貼らないといけないんだよ」と言ったら、観念したように頷いた。(3歳2か月の男の子のママ)
2017年2月には、同じくやぎゅうさん作の『きゅうきゅうばこ』の新版がでました。最新の「浸潤療法」に基づいた手当の方法が追加されています。かさぶたができるようなケガをした際には、セットで読むといいかもしれませんね!
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