毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、かこさとしさんの『かわ』。1962年に月刊絵本「こどものとも」として刊行されました。これまで600点以上の作品を手掛けてこられたかこさんの、2作目の絵本です。
川の一生は、高い山の雪解け水や山に降った雨が集まった小さな流れから始まります。山を下り平野を流れ、大海にそそぐまでの、ひとつの川の生態を、人の営みと共に、詳細にかつダイナミックに描いた科学絵本です。
「この絵本では、できるだけくわしく"かわ"の生態が画面にかきこまれています」と、「こどものとも」刊行時の折り込み付録にあるように、川自体の流れだけではなく、田畑や村、町などの流域の人々の暮らしや、発電所や工場といった川を中心とした産業まで詳しく描きこまれています。
文章はやさしいことばで、簡潔に書かれていますが、絵には情報がいっぱい。読み聞かせを聞く子ども達は、絵を読み、文章では語られないことに自分で気が付き、好奇心をふくらませていくことでしょう。「自ら積極的に何かをする、そしてそれによって喜びや達成感を味わう……そういう経験こそが、その子を伸ばしていく」。かこさんがインタビューで語られたことが絵本の中で実践されているのを感じます。
かこさんの絵本は皆、一度読んだだけでは読みきれないほどたくさんの事柄が描き込まれていますが、この作品は表紙からすでに見逃せません。子ども達が見ている地図は、この絵本に描かれた川が流れる場所の地図でもあります。等高線の込み合った山、ダム、田畑、橋、線路、工場…。一度絵本を読み通した後に、「ここが河原で水遊びをしているところだ」「学校がここにある」などと振り返るとより楽しめるのではないでしょうか?
<ミーテ会員さんのお声>
お兄ちゃんが学校からかこさとしさんの『かわ』を借りてきた。週末に河原へ遊びに行く予定だから、ぴったりだと思ったみたい。読み聞かせしてあげると、下の子は知らないことばが出てくるたびに、質問攻め。お兄ちゃんは、気に入らない本だと別の本を読み始めてしまうけど、今回はじっとだまって聞いていた。頭の中に好奇心の種が植えられたんだといいなぁ。(4歳3か月と7歳の男の子のママ)
2016年のこどものとも60周年記念のひとつとして出版された『絵巻じたて ひろがるえほん かわ』。『かわ』の全ページが7メートルの一枚絵になっています。片面はカラーでテキストがなく、もう片面はモノクロに川のみ薄いブルーがついていて文章が入っています。全体を一目で見られることで、新たな発見があり、見ごたえ十分です。一度手にとってみてはいかがでしょうか?
▼かこさとしさんのインタビューはこちら
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