毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介する絵本は、作家の嵐山光三郎さんと、イラストレーターの安西水丸さんによる『ピッキーとポッキー』。1976年にペーパーバック絵本として紹介されたロングセラーです。
今日はみんなでさくら山までお花見です。ウサギのピッキーとポッキーは、モグラのふうちゃんと一緒にお弁当の準備。すみれのサンドイッチ、木の実のジュース、菜の花サラダ…。春の花が満開の村を通って、お花見に出発!
親世代も子世代も、この絵本というと最初に思い出すのは、最初のページに載っている「はなのむら」の地図ではないでしょうか?
お話は、クスノキの木の根元の家からさくら山まで花見に出かけるという単純明快なものですが、一方、地図は実に詳細です。左下の家、右上のさくら山をはさんで、中央にでんぶと卵の2色弁当のような花畑。まったく話に登場しない店や学校、公園から役場まで描きこまれています。この地図を見ているだけで、ピッキーとポッキーとともにはなのむらに暮らしているような気持ちになります。
そしてもちろん、読者はこの地図を見ながら話を読むのですが、3人は、期待を裏切って道ではなく菜の花畑を通って行きます。どんな景色なのか、どこに出るのか、ワクワクしないではいられません。
道すがら登場する花は、胸まである菜の花畑に、濃いピンクでまりや首飾りをつくれるレンゲ、タンポポ、最後のサクラ。北国の春のように、村中で一気に春の花々が咲き乱れていることがわかります。
もうひとつ、春を感じさせるのが、3人のつくったお弁当です。すみれのサンドイッチに、菜の花のサラダ、木の実のジュースなどなど。これをサクラの木の下で食べたなら…、春を丸ごと味わうような花見になること請け合いです。
作の嵐山光三郎さんと絵の安西水丸さんは、当時同じ出版社の社員でした。嵐山さんが安西さんに「絵、描ける?」と声をかけたことが始まりだったそう(サイト「就職ジャーナル」内インタビュー「仕事とは? Vol.52安西水丸」)。嵐山さんは、「(安西さんと)同い年であった嵐山はたちまち意気投合して、親戚みたいに仲良くなり」(福音館メールマガジン「あのねメール通信」Vol.155)と語っています。ピッキーとポッキーは、力の抜けた和気あいあいとした関係から生まれたのだろうと想像できて、楽しい気分になりますね。
<ミーテ会員さんのお声>
図書館の書棚で見掛けてたまたま借りた『ピッキーとポッキー』。
娘に読み聞かせているうちに不思議な感覚に。すみれのサンドイッチ、木の実のジュース、菜の花のサラダ…。何だろう、目に入る色彩が懐かしい。ピッキーとポッキーのことは全然覚えてないんだけど、村の地図や、モグラの穴の抜け道、菜の花畑とれんげ畑の鮮やかな色に、ワクワクしながら読んだ記憶がかすかに蘇りました。きっと、子どもの頃にこの本に出合っていたのでしょう。こういうの、これからもあるといいなぁ。(2歳10か月の女の子のママ)
続編に『ピッキーとポッキーのかいすいよく』、2013年に出た『ピッキーとポッキーのはいくえほん おしょうがつのまき』があります。それぞれの地図を比べると、つながっていたり、季節が移ろっていたりして、楽しめますよ。
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