毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。
今回ご紹介するのは、ウクライナに伝わる民話がもととなった絵本『てぶくろ』。日本での初版は1965年、発行部数300万部というベストセラーです。
雪が降りしきる薄暗い森で、おじいさんが手袋を片方落としてしまいます。ネズミは雪の上に落ちていた手袋を見つけて、その中で暮らすことに。その後もカエルやウサギ、キツネなど、次々と動物がやってきて、「ぼくもいれてよ」「わたしもいれて」と仲間入り。手袋はぎゅうぎゅうに膨らんで、今にもはじけそう! 最後には大きなクマまでやってきて…。
最初のネズミやカエルはともかく、オオカミやイノシシ、クマといった大きな動物が手袋に入るわけないじゃないか!と思わずツッコミたくなる方も多いとは思いますが、なんとか入れてしまうのは、絵本の世界だからこそ。雪深い森の中での秘密の出来事を、こっそり覗いているような気分で楽しみましょう。
繰り返しの中にも様々な変化が盛り込まれた展開は、まさに絵本の王道。新たな動物が登場するたびに「もう無理でしょう!」とドキドキしたり、「え、入ったの!?」と驚いたりと、子ども達を惹きつけてやみません。
そして、この絵本の何よりの魅力と言えば、ロシアの絵本作家エウゲーニー・M・ラチョフさんの描いた細やかな絵です。じっくり見ていくと、動物達はただ手袋の中に入るのではなく、より快適な「住まい」をつくろうと改良を重ねていることがわかります。動物が増えるにつれ、煙突や呼び鈴をつけたり、かわいい窓もつくったり…。7匹の動物の個性的な衣装にも要注目です。
<ミーテ会員さんのお声>
この本を読む時、息子は引き出しにしまってある手袋を持ってきて、本と同じような世界を楽しもうとする。片手だけはめて、もう片方は床に落とした状態で読み聞かせスタート。落とした手袋に動物達が集まってくることまで想像できてるかはわからないけれど、こんな風に絵本を楽しんでくれると、ママはうれしいものだよ。(2歳3か月の男の子のママ)
ラストは、最初のページと同じ雪の上の手袋の絵でスッと現実に戻して、あっさりおしまい。7匹全員が入ったはじけそうな手袋や、犬の声を聞いて慌てて逃げていく動物達の様子は、読者の想像に委ねられています。すべてを描きつくさないところも、この絵本の大きな魅力なのでしょう。
手袋や靴を片方なくしてしまう、といったアクシデントは、子育てをしていると時々起こりうること。でも、なくなった手袋や靴でこんな出来事が起きているかもしれないと想像してみると、なんだか楽しくなりますね♪
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