イチ押し絵本情報

キャベツの鼻をしたブタが空に浮かぶ!(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.34)

2015年6月18日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 空に浮かぶキャベツの鼻をしたブタ!

今回ご紹介する絵本は、長新太さんの『キャベツくん』。1980年に生まれ、今年で35周年を迎えるナンセンス絵本の定番です。

道でブタヤマさんに会ったキャベツくん。お腹がすいていたブタヤマさんは「キャベツ、おまえをたべる!」。キャベツくんは「ぼくをたべるとキャベツになるよ!」「ブキャ!」と驚くブタヤマさん。空に浮かんでいたのは…。

たとえばヘビが、ゴリラが、キャベツくんを食べたら…という姿が、次々と空に浮かびます。そのたびにブタヤマさんは「ブキャ!」。動物達のあり得ない姿と、キャベツくんとブタヤマさんのユーモアあふれる掛け合いに、大笑い必至の絵本です。

キャベツくん

長新太さんのナンセンスなパワーと漫画家らしいユーモアセンスが味わえる代表作のひとつです。異質な世界だと告げる黄色い空。突然動物の、それも体の一部だけがキャベツになってしまう荒唐無稽。子どもはすぐに受け入れて大笑いするのですが、大人からは「意味がわからない」という声が届くこともあったそう。

『絵本をよんでみる』(講談社)の中で、五味太郎さんは「だってそうなんだもの、しょうがないじゃないかという快感で読んでみる」と、『キャベツくん』について語っていらっしゃいます。一度子どもの気持ちに戻って読み返してみたら、また新しい魅力が見つかりそうですね。


今年は、長新太さんの没後10年の節目の年。多くの絵本作家から愛され、尊敬されてきた長新太さんの回顧展「没後10年『長新太の脳内地図』展」が、東京都練馬区のちひろ美術館・東京で開催中です(2015年8月2日(日)までの10時~17時、月曜休み)。絵本や子どもの本の原画のほか、漫画やイラストレーション、未発表のダミー本や遺品などで、長新太さんの特異な発想の源泉を探る展覧会です。等身大キャベツくんがやってくる読み聞かせのイベントなどもあるので、子どもと一緒に遊びに出かけてみては?

会期終了後、横須賀市美術館、佐野美術館、刈谷市美術館、安曇野ちひろ美術館と、全国巡回予定。

<ミーテ会員さんのお声>
子どもが保育園で読んでもらって「面白かった」と言うので、図書館で借りました。繰り返し読むうちに親子ですっかりキャベツくんファンに。驚く時は「ブキャ!」(笑)(2歳10か月の男の子のママ)

『キャベツくん』のシリーズは全5冊。いずれもナンセンスパワーあふれた面白さですよ。

▼ちひろ美術館・東京
http://www.chihiro.jp/tokyo/


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