赤ちゃん絵本を楽しもう!

Vol.24 『ゆびさしちゃん』作者ザ・キャビンカンパニーさんインタビュー

Vol.24 『ゆびさしちゃん』作者ザ・キャビンカンパニーさんインタビュー

赤ちゃんとの絵本の時間を楽しみたい、すべての方へ。選りすぐりの赤ちゃん絵本の誕生秘話や、作家さん・編集者さんが絵本に込めた思いを伺いました。赤ちゃん絵本を楽しむヒントが詰まったインタビュー、今回はザ・キャビンカンパニーの阿部健太朗さんと吉岡紗希さんご夫妻にご登場いただきます。

赤ちゃんとの暮らしの中で生まれた『ゆびさしちゃん』

吉岡さん(以下、敬称略) 『ゆびさしちゃん』は私達がつくった初めての赤ちゃん絵本です。でも実は、デビュー作の『だいおういかのいかたろう』よりも前に、展覧会を見てくださった編集の方から「赤ちゃん絵本を出してみませんか」と声をかけていただいていたんです。

ただその頃は、赤ちゃんが身近にいなかったので、どういう絵本にすればいいのかわからなくて…何案も出したものの、出版には至りませんでした。それが、赤ちゃんが生まれたことで、一気にクジラの潮吹きみたいにアイデアがわいてきたんです。

阿部さん(以下、敬称略) 赤ちゃんとの暮らしの中で、実際に絵本の読み聞かせを経験することで、それまでわからなかった0歳の気持ちがわかるようになってきて、それがアイデアにつながりました。

吉岡 新生児の頃から絵本の読み聞かせをしていましたが、その頃は込み入った絵だとよく見えていないようで、反応が全然なかったんですね。でも、真っ白い床に落ちた小さな黒いゴミとか、ほくろとか、そういうものには反応していると気づいたんです。それで、黒い点が主人公のお話を思いつきました。

阿部 それと、僕らの絵本『くつしたしろくん』を読んだ時、子どもに「しろくん、どこ?」と聞いたら指さしたことがあって。まだ0歳3、4か月の頃だったんですけど、すごくうれしかったんですよね。当時はコミュニケーションもままならなくて、絵本を読んでも、本当に見てくれているのかわからなかったんですが、初めてそこで、一緒に遊んでるって思えたんです。

それで、赤ちゃんに特化した探し絵の絵本をつくろうと考えて、『ゆびさしちゃん』が生まれました。黒い点以外は淡い色を使って、コントラストをつけることで、0歳でも反応できるように工夫しています。持ち運びを考えて小さめのサイズにしたり、なめたり破ったりしても大丈夫なようにボードブックにしたりと、いろんな赤ちゃん絵本を参考にしながらつくっていきました。

吉岡 子育てを始めたばかりの皆さんにとっての、コミュニケーションの最初の一冊になってくれたらいいなと思っています。

「できるようになった」は子育てをする中での一番の喜び

阿部 『ゆびさしちゃん』は、指をさすというところに限定した絵本なので、買ってくださった方が「うちの子は指をささなかった」とがっかりされたら申し訳ないな、という気持ちもありました。でも、きっといつかはできるようになると思うので、そういう意味では、この絵本を通じて成長の度合いを確かめてもらえるのかなと。

指さしできるようになったり、ハイハイできるようになったり、歩けるようになったり…「できるようになった」というのは、子育てをしていく中での一番の喜びだと思います。

吉岡 毎日欠かさず読み聞かせを続けていると、読む時期によって反応も変わってくることがよくわかって、子どもの成長を感じながら一緒に歩んでいるように感じています。今、2歳になったばかりなんですが、最近は絵本の文章を覚えて、自分で読み聞かせをしてくれるようになりました。

阿部 子育てをしていると、僕らが教えてもらうことの方が多いような感じがします。どんなものに反応するのか、どんな気持ちになるのか…仕事柄、そういう目で見てしまうっていうのもあるんですけど、もう一度子どもをやり直しているような気分にもなれて、楽しいです。

これから赤ちゃんへの読み聞かせを始めるという方には、どういう風に読むべきかなんてことはあまり気にせず、自由に楽しんでもらいたいですね。絵本の表紙だけを並べて見てみるのも面白いですし、好きなようにお話をつくって聞かせてもいいですし。

吉岡 読み手となるお母さん、お父さん自身が好きだなと思える絵本を選ぶことも大切ですよね。親が好きな絵本は、子どもも自然と興味をもってくれますから。子どものために読んであげるのではなく、一緒に楽しむために読むのが一番いいと思います。

ミーテ プレゼント情報

ほーほー

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応募期間
5月15日(火)~5月28日(月)

プロフィール

ザ・キャビンカンパニー

阿部健太朗と吉岡紗希の二人組の画家、絵本作家。1989年、大分県生まれ。大分大学教育福祉科学部卒業後、由布市の廃校となった小学校をアトリエに改装し、制作拠点としている。デビュー作『だいおういかのいかたろう』(鈴木出版)と『しんごうきピコリ』(あかね書房)で日本絵本賞読者賞受賞。その他の作品に『よるです』(偕成社)、『ほーほー』(小学館)、『はみがきあわこちゃん』(鈴木出版)、『ねむれないおうさま』(原作:B・エルキン、訳:小宮由、瑞雲舎)、『おかしな? ハロウィン』(ほるぷ出版)などがある。

ザ・キャビンカンパニー公式サイト http://cabin8cabin.web.fc2.com/


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