vol.14 DJみそしるとMCごはんさんの推し絵本
思い出の一冊、大好きな一冊、渾身の一冊など、とっておきの“推し絵本”を紹介してもらうインタビュー「みんなの推し絵本!」。今回ご登場いただくのは、「おいしいものは人類の奇跡だ!」をモットーに、料理のレシピをラップで歌うソロアーティスト、DJみそしるとMCごはんさん。絵本作家としても活動し、昨年末ママになったばかりでもあるDJみそしるとMCごはんさんの推し絵本とは?
子どもの頃の思い出の一冊は『じごくのそうべえ』です。地獄めぐりがテーマなので絵がおどろおどろしくて、ぱっと見ると怖そうな雰囲気なんですが、私はこの絵本が大好きでした。お母さんよりも、お父さんに読んでもらっていた記憶があります。
熱湯地獄が山伏のおまじないでちょうどいい湯加減になったりとか、針の山を軽業師の技で難なく登ったりとか、地獄に送られた4人がそれぞれの技を使いこなして、最終的には地獄から追い出されるところが痛快で。子どもって想像力が豊かだから、『ぐりとぐら』のカステラを見れば「おいしそう!」「食べたいなぁ」と思うじゃないですか。それと同じように、糞尿地獄を見て「くさそ~!」、針地獄に「痛そ~!」と、想像して楽しんでいましたね。
大人になってから、『じごくのそうべえ』は落語をもとにしたお話だと知りました。なるほど確かに、テンポのいい文章は落語のリズムそのままだなと。子どもながらに、言葉の気持ちよさを感じてハマっていたんだと思います。
私はこれまで落語に触れないまま大人になったと思っていたんですが、実は子どもの頃に『じごくのそうべえ』で落語に触れていたんだという発見もあって。私がラップをするようになったのも、もしかしたら『じごくのそうべえ』にルーツがあるのかもしれませんね。
自分も絵本を描かせていただくようになって、今さらながらプロの絵本作家さんがどのように絵本を描いているのか気になり、一昨年「没後20年 まるごと馬場のぼる展」を、昨年は「こぐまちゃんとしろくまちゃん 絵本作家・わかやまけんの世界」展を見に行きました。人気シリーズはただかわいい、面白いだけじゃなくて、子どもたちを惹きつける様々なしかけが詰め込まれているんだということがわかって、「11ぴきのねこ」や「こぐまちゃんえほん」がますます好きになりましたね。
はらぺこめがねさんとの絵本『スパゲッティのうた』では文章を担当したんですが、昨年出版されたケロポンズさんとの絵本『オムライスッス』では、絵を担当させてもらいました。以前、ケロポンズさんと一緒に「ライスッス」という曲をつくったことがあったんですが、その進化版みたいな感じで生まれた一冊です。
はらぺこめがねさんは食べ物の絵を描く時、いつも実際に料理して、撮影してから描くとおっしゃっていたので、私もオムライスを実際につくって撮って、料理の楽しさなども思い出しながら描きました。にんじんや玉ねぎ、ピーマンなど、食材もいろいろと出てくるので、野菜を切って観察しながら、断面をリアルに描いています。ラップみたいなリズミカルな文章で、オムライスができるまでの過程を楽しめますよ。
今、子どもが0歳4か月なんですが、2か月の頃から絵本の読み聞かせをしています。最近は絵を見て「あうあう…」と何かしゃべっていたり、にこにこ笑ったりもしていて、その反応を見るのも楽しいですね。まだまだ新米母さんなので、子育て哲学みたいなものは特にないんですが、なるべくご機嫌なお母さんでいたいなと。絵本はご機嫌でいるための助けにもなるので、また自分でも描きたいですし、子どもと一緒にいろいろな絵本を楽しんでいきたいなと思っています。
インタビューの中でご紹介した絵本『オムライスッス』にDJみそしるとMCごはんさんの直筆サインを入れていただきました!ミーテ会員3名様に抽選でプレゼントします。
プレゼントの応募は締め切りました。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
DJみそしるとMCごはん
1989年、静岡県生まれ。女子栄養大学卒業。「おいしいものは人類の奇跡だ!」をモットーに料理と音楽の新たな楽しみ方を提案する、くいしんぼうヒップホッパー。NHK Eテレ「ごちそんぐDJ」出演でお茶の間に広く知られる。絵本に『みよこ たまごのなかのひみつ』『となりのおやつ ザクのフレンチトースト/なめのフルーツサラダ』(神宮館)、『スパゲッティのうた』(絵:はらぺこめがね、あかね書房)、『オムライスッス』(作:ケロポンズ、主婦の友社)がある。