スペシャルインタビュー

チョーさんスペシャルインタビュー

今回のインタビューにご登場いただくのは、俳優、声優、ナレーターとして多方面で活躍しているチョーさん。NHK Eテレ『いないいないばぁっ!』のワンワン役、'92年まで放送されていた『たんけんぼくのまち』の"チョーさん"としてもおなじみです。
今年4月からはアニメ『ぼくは王さま』の王さま役をユーモアたっぷりに好演。作品の魅力や舞台裏エピソードなどを伺いました。

チョー

チョー

1957年生まれ。本名は長島茂。東京俳優生活協同組合所属、主な出演作品に『いないいないばあっ!』(ワンワン役)、『ワンピース』(ブルック役)、『ロード・オブ・ザ・リング』(ゴラム役)などがある。NHK DVD『たんけんぼくのまち』が発売中。
オフィシャルブログ「きのう チョー あした」 http://ameblo.jp/chosans/

原作者の寺村先生の写真を見て、"王さま"のイメージをつかみました

ぞうのたまごのたまごやき

▲最初に書かれた「ぞうのたまごのたまごやき」(1959年「母の友」に掲載)を収録の作品集(理論社刊)。シリーズ販売累計部数は600万部を超える

『ぼくは王さま』は発売から約50年を数え、シリーズ作は約50作品にのぼるそうです。僕の周りにもファンの方が多いのですが、読んでみると、一話一話のストーリーが長めで読み応えがある。全作を読んだらかなりのボリュームになります。児童文学とはいえ、もはや日本の『ハリー・ポッター』ですよね(笑)

主人公の王さまはわがままで自分勝手、だけどどこか憎めないというキャラクター。どう演じようかと模索していたとき、アフレコスタジオに原作者の寺村輝夫先生の奥さまがいらしたんです。

奥さまから「お父さん(寺村先生)が王さまみたいだったのよ」とヒントをいただき、あらためて寺村先生の写真を拝見しました。それで「ああ、こういうことか」とイメージがはっきりつかめたんです。「どこにでもいるような、ちょっとわがままでいばりんぼうのオヤジが王さまなんだ」って。

ただ、王さまはだだをこねたり純粋だったり、子どもらしい側面も持ちあわせています。だから演じるときは、キャラクターを一色に染めず、オヤジの顔とだだっ子の顔を、シーンに合わせて調整しながら表現するようにしていますね。

で、そんな王さまを「べんきょうをしないとあたまがわるくなりますよ」とたしなめるホウ大臣は、さしずめ母親の役回り。小言をいいながらも、王さまのわがままをきいてしまうところなんて、かなりお母さんらしいですよね。

「この話、知っている!」と親世代も懐かしく楽しめる

ぼくは王さま

▲チョーさんお気に入りの第6話『しゃぼんだまのくびかざり』のワンシーン

アニメ版の『ぼくは王さま』は、原作を忠実に再現しています。一般的なアニメの3~4倍くらいゆっくりとセリフを読み上げているので、小さな子どもも内容を理解しやすいと思いますね。ですから、いちばん出番が多くて大変なのは、ナレーションの新井里美さん! 彼女に比べたら、僕はあまりしゃべっていないんですよ(笑) 新井さんの耳に心地いい語りでストーリーが進められていきます。

NHK Eテレの『てれび絵本』とは異なり、この作品は役それぞれに声優がついているのが特徴です。音楽、音響効果もあって、物語の新しい世界が広がると思います。子どものころに原作を読んだという親御さんも多いはず。

「懐かしいね。そうそう、こういう話だったよね」、「ママはこう思ったけれど、今日の王さまはどうだった?」など、『ぼくは王さま』が親子の会話のきっかけになればうれしいです。

すでに第6話まで収録(※4月下旬:取材当時)したのですが、僕がいちばん気に入った作品は6話目の『しゃぼんだまのくびかざり』(6月22日放送予定)。あのわがままな王さまがなんと……働くんですよ! あの衣装のままで汗水たらして畑を耕し、働くことの喜びを感じるわけです。それまでになかった異色な作品で、心に残りました。

ワンワンと王さまは、僕の中では同い年

ぼくは王さま

僕は『いないいないばぁっ!』でワンワンを演じています。ワンワンの年齢は5才なのですが、王さまも精神年齢は5~6才くらいだと思っているんですよね。だから僕の中で、ふたりはとても近い位置にいます。ちなみに、ワンワンの手によるパペットのコンビ「パクパクさん」と「パクこさん」の中身は大人。あの掛け合いは、お父さんとお母さんの会話をイメージしたものです。

たくさんの子どもたちを前にしたとき、「みんなー、おっはよー!」のようにハイテンションで話しかけると、子どもたちは「なんだなんだ?」と食いついてきます。読み聞かせのときも、テンションを上げて読んであげると、子どもは釘付けになるかもしれませんね。「今日のママ、どうしちゃったんだ? 何を言い出すんだ?」って(笑)

絵本を読むときのスピードは、読み手の好きなリズムでいいと思います。環境や時間帯、作品によっても変わってくるでしょう。

『ぼくは王さま』は僕も声に出して読んでみましたが、一冊読んだら声がからからになっちゃいました。読み手が心ここにあらずの状態で読み聞かせても、子どもに見抜かれます。疲れてしまったら、中断して、「続きは明日のお楽しみ」にしてもいい。いちばん大切なのは、読んでいる自分自身が楽しむこと。そのうえで、声色を変えたり抑揚をつけたりするなど、サービス精神を盛り込んでいくと、読み聞かせが楽しくなると思いますよ。

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