スペシャルインタビュー

ましませつこさんに聞きました! 第1話<全4話>

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今回は、『あがりめさがりめ』などのわらべうた絵本や『ママだいすき』などでおなじみの絵本作家・ましませつこさんがご登場。伝統的な色彩や形の美しさと現代的なセンスが合わさったあたたかな絵は、どうやって生み出されてきたのでしょうか? 山形での子ども時代や「わらべうた」との出合い、まど・みちおさんとの思い出、制作エピソードなどを、季節の花が咲く素敵なご自宅で伺いました。4週連続でお届けします。

第1話|第2話第3話第4話

ましませつこさん

ましま せつこ

1937年、山形県鶴岡市生まれ。広告デザインの仕事の後、子どもの本を手掛けるようになる。『わらべうた』でデビュー。主な作品に『うめぼしさんのうた』(以上、福音館書店)、『ママ だいすき』(作:まど・みちお)、『あがりめさがりめ』、『ととけっこう よがあけた』(案:こばやしえみこ、以上こぐま社)など。最新刊は、『うめぼしさん』(作:かんざわとしこ、こぐま社)。

ただ遊んで過ごした子ども時代

『あかいそり』

▲雪の翌日はいい天気。はなえは兄と一緒にそりで遊びます。でもそりが壊れて、町から離れたおばあちゃんの家に借りに行きますが…。ましまさんの子ども時代を描いた『あかいそり』(福音館書店、※絶版)

小さい頃って言うと、ただ遊んで過ごしていたわね(笑) 5人兄妹だったの。上が兄で、下ふたりが弟、その下が戦後生まれた妹。田舎で庭には遊ぶところがいっぱいあって、近所の子たちもみんな遊びに来て日が暮れるまで遊んでいたわ。果物の木がいっぱいあって、なし、りんご、かき、ぶどう…物がなかったから、子どものおやつに植えたんでしょうね。動物もお花も、なんでもあったから、そこで遊べばいいという感じだったの。

ひとりずつに割り当ての花壇をもらってね。私は、種屋さんで買った花の種を植えた。毎日かわいくてね。一番覚えているのが、ポピー。種の袋の写真で初めて見たのね。育てていくとちょっと下を向くの。「どうなるの?」って思ってたら、パッと鮮やかな赤い花が咲いてびっくり仰天! 反射的にクレヨンを持ってきて紙に描いたの。それが私が絵を描きはじめた最初ね。「絵を描く」という自覚はなくて、遊びのひとつだった。

本はね、みんなで回し読み。貴重だったからね。初山滋さんの『赤いばらの花』という本があったの。薄いわら半紙のような悪い紙に描かれていて、でもきれいで、かわいくてね。大好きだったのよ。それを男の子達に取られちゃ困るから隠しちゃったの! もう破れるに決まっているからね(笑) 今でもうちに持ってきて、大切にしています。

故郷をそのまま描いた『あかいそり』

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ましませつこさんのインタビューはまだまだ続きます。

『あかいそり』は、私の子どもの頃の話なの。あまりにそのままだから、出た時恥ずかしくって恥ずかしくって(笑) 最初のシーンは、自分の子ども部屋。100年ははるかに超えている古いうちなんです。東北でしょう? 雪に潰されないように柱が本当に太くて、屋根はすごく深い。だから暗いのよ。それが朝起きて雨戸を開けると、いきなり雪で真っ白。別世界なのよ。

兄がミカン箱でソリをつくって遊んだこともあったわ。足にはわらぐつ。新しいのをもらうとうれしかった。履いたって冷たいんだけどね。手はしもやけになって、泣いて家に帰ってね。お湯を洗面器に入れて、痛いのをがまんして手を浸すの。それでも、あたたまればまた外に出ていく(笑) 実際に兄とふたりで、おばあちゃんのうちに行った時に猛吹雪に合ったの。怖くて、死ぬかと思った。あの頃は大人も行き倒れと言うことがあったのよ。

私は庭で遊んで、寒い暑いも、果物が甘いとか酸っぱいとか、木の折れる所、虫が死んで腐ったのも見ているし、きれいな花も見た。あらゆる五感みたいなものって、この頃に培ったと思う。子どもってみんなそうじゃないかな。

ましませつこさんのインタビューはまだまだ続きます。

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