絵本作家インタビュー

vol.145 デザイナー・絵本作家 かしわらあきおさん(前編)

絵本作家さんや絵本の専門家の方々に、絵本についての思いやこだわりを語っていただく「ミーテカフェインタビュー」。今回は、カラフルな色彩にシンプルでキュートなイラストのタッチで人気の、かしわらあきおさんにご登場いただきます。制作プロダクションに所属され、キャラクター開発などのプランナー、デザイナー、そして絵本作家として活躍されているかしわらさんの、子ども時代のエピソードや、さまざまな作品についてお話をお聞きしました。
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デザイナー・絵本作家 かしわらあきおさん

かしわら あきお

1969年、兵庫県生まれ。神戸デザイナー学院・グラフィックデザイン科卒。クリエイティブディレクターとして京田クリエーションに所属し、絵本作家としても活動。2004年「えいごえほん」シリーズで絵本デビュー。絵本には「いっしょにあそぼ」シリーズ(学研教育出版)や、「ゆびあそぶっく」シリーズ(ひかりのくに)など、乳幼児向けの作品多数。2012年『ちょんちょんちょん(ゆびあそぶっく)』(日本出版販売株式会社)で「第1回デジタルえほんアワード グランプリ」受賞、「ほんとのおおきさ」シリーズの4冊が(学研教育出版)で2009年、2010年、2012年の「Parents' Choice Award ノンフィクション部門・金賞」受賞。
かしわらあきお公式ブログ「かっしー日記」: http://kassinikki.jugem.jp/

ストーリーを生むチカラは、少年時代の妄想で鍛えた!?

小さい時から絵はよく描いていました。ロボットアニメが流行っていた小学生の頃は、単に主人公やロボットを描くというより、たとえば1号機から3号機まで登場するとしたら、続く4号機を想像で描いたり。また、敵があまりにもすぐ負けるので、さらに強い敵を考えてみたり。とにかくオリジナルのストーリーを考えることが好きで、それを絵にしていたという感じです。

授業中も、じっと見つめていた黒板が「グニャグニャになり飛び込めたらおもしろいな~、中の世界はどんなんかな~」とか(笑)、とにかく妄想するのが好きな子どもでした。

将来、絵の方面に進もうとはまったく考えていませんでした。絵を描くこと、ブロックや粘土遊びは好きでよくやっていましたから、図工の成績だけはよかったですけど、スポーツもダメで、クラブも文化系。吹奏楽部でトランペットを吹いていました。

お気に入りだったという絵本もないんです。両親からの読み聞かせもほとんど記憶にありません。僕が絵本を本格的に手がけ始めたのはほんの数年前で、それまではデザイナーとしての仕事の延長線上で絵本に接していました。だから、他の作家さんのように「あの先生に憧れて」とか「どうしても絵本作家になる!」といった、高い志や強い思いを抱いてなったわけではなく、デザインのひとつの表現として、絵本をやらせてもらっています。

デザインの道へ、そして絵本の世界へ

高校を卒業した後、家具の製造工場に就職しました。天板など家具のパーツをつくる仕事で、それはそれで楽しかったんですが、1年ほど働いた頃、急に「デザイン関係の仕事がしたいなぁ」という思いが頭にポンッと浮かんだんです。そこで会社を辞め、神戸デザイナー学院の夜間部に入学。昼間のアルバイトは、デザイナーになるならコミュニケーション力も必要だと思い、喫茶店、ファストフード店、洋服の販売員など、人と触れ合う仕事を積極的に選んでやりました。

そして卒業した21歳の時、京田クリエーションへグラフィックデザイナーとして入社しました。会社ではイラストの仕事もしていましたが、基本的には、ステーショナリーグッズやキャラクターものの商品デザイン、企画を多く手がけていました。

絵本として丸ごと一冊、イラストを描いたのは、2004年出版の『えいごえほん』(成美堂出版)です。月刊誌などに載った僕のイラストを気に入ってくれた編集プロダクションの方が声をかけてくださいました。私にとっては未知の領域、大ボリュームの全50ページでイラストびっしり。しかも2冊同時進行。イラストで表現することの難しさ、計画的な時間配分の大切さ、プレッシャーの中での気持ちの持ちようなど、今僕が仕事をしている大事な部分を学ばせていただいた絵本になります。この時の経験が後のイラスト制作に大きく役に立っています。

えいごえほん〈1〉これなーに
えいごえほん〈2〉おうちとかぞく

▲お話と絵を楽しみながら、子どもの生活につながる英語が自然に身に付きます。『えいごえほん〈1〉これなーに』『えいごえほん〈2〉おうちとかぞく』(成美堂出版)

デザイナーの経験をフルに生かせた『しましまぐるぐる(いっしょにあそぼ)』

しましまぐるぐる

▲赤ちゃんが大好きな「しましま」と「ぐるぐる」がいっぱい! 黒・白・赤といったコントラストの強い配色の線や形、目や口がある「顔」の絵で構成された赤ちゃん絵本。『しましまぐるぐる』(学研教育出版)

僕の中では絵本作家とは文と絵の両方をやるものという認識がありますので、そういう意味でのデビュー作が2009年の『しましまぐるぐる(いっしょにあそぼ)』(学研教育出版)です。僕のブログに載っていた、「ぐるぐるしているイラスト」を出版社の編集者が気に入ってくださり、「これで一冊、本ができないでしょうか」と声をかけていただきましたが、正直絵本もあまり読んだことがなく、どうやってつくったらいいのかもわからない状態からのスタート(笑) 編集者と相談しながら手探りでつくり上げた、思い入れのある作品です。

僕が手がけてきた「デザインによる表現」と、編集者からのアイデアがうまくマッチした、乳児さん向けの絵本だけれど、動物などのキャラクターを使わずに “デザインで魅せる”赤ちゃん絵本。僕にとっても新鮮でした。


……かしわらあきおさんのインタビューは後編へとまだまだ続きます。(【後編】はこちら→


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