イチ押し絵本情報

好奇心あふれる小犬は、子どもそのもの(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.164)

2017年12月28日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 好奇心あふれる小犬は、子どもそのもの

今回ご紹介する絵本は、マージョリー・フラックさんの『アンガスとあひる』。1930年に米国で出版され、1974年に日本で翻訳されたアンガスシリーズの第1作です。

スコッチテリアのアンガスは、何でも知りたい好奇心旺盛な子犬。アンガスが一番知りたいのは、生垣から聞こえてくる「ガーガー」という、やかましい音の正体でした。ある日のこと、生垣の向こう側に行ったアンガスは…。

見開き

お話はすべて、幼い犬のアンガスの視点で語られます。世の中、まだ知らないことだらけのアンガスは、好奇心にまかせて小さな冒険をして、ちょっと痛い目にあって家に逃げ帰ります。すじは単純で、大きな事件が起こるわけではありません。絵本の読み聞かせを聞く子ども達の世界と、同じ大きさのお話。子ども達は、勝手がわかる世界の中で、自分達と同じように冒険をして失敗するアンガスのお話が大好きです。

この絵本の魅力は、何といってもアンガスの愛らしさでしょう。表情や行動、また靴を持ってくるいたずらなどは、実際の小犬そのものです。特に最後の「そして、とけいのきざむ、いち、に、さんぷんかん、なにごともしりたいとおもいませんでした」というシーン。ソファーの下にもぐり込んだ情けない表情と、3分後には怖い思いが喉元過ぎて、またヤンチャに遊び回るだろうと想像されて、思わず笑みがこぼれてしまうはず。アンガスと同じように、失敗などには懲りない子ども達の伸び伸びとした好奇心が、見事に描かれていると言えるでしょう。

マージョリー・フラックさんは、米国の絵本の黄金期前夜を支えた作家のひとり。明るい色彩とはっきりした輪郭線が、古き良きアメリカの雰囲気を伝えます。モノクロとカラーが交互に使われていて、これが絵本のテンポになっています。中盤までののんびりとした空気と、一転、アヒルに追いかけられて一気にお話が収束するスピード感。翻訳の瀬田貞二さんの名調子も相まって、見事なリズムをつくりだしていると言えるでしょう。

アンガスシリーズは全5冊。続編として『アンガスとねこ』『まいごのアンガス』、また出版社と訳者がかわって『ベスとアンガス』『トプシーとアンガス』が出ています。続けて読むと、何も知らない小犬だったアンガスが少しずつ賢くなり、友だちができて世界が広がる感じが味わえますよ。

<ミーテ会員さんのお声>
『アンガスとあひる』は先輩ママさんのおすすめ絵本です。繰り返し読んでいくうちに、「ズボンつり」のシーンでは「ひっぱれ、ひっぱれー」と言い、「あんがーす」と犬の名前を覚えた娘。すっかりハマっています。

「もっかい」と何度も言い、聞いている時はすごく真剣に絵本を見つめているので、思わず一気に5回も読んであげちゃいました。 「さんぷんかん」だけ「なにごともしりたいとおも」わなかったアンガス。その後は再び好奇心のかたまりに戻りそう。そんなところが娘に似ている、とかわいくてならなかったです。(1歳11か月の女の子のママ)

アンガスを追いかける時のアヒルの声。「シーシー…シュ!」というアヒルの声としてはあまり聞かない表現になっていますが、本当に、低い声でシューシューと威嚇するのだそう。動きや表情の細かいところまでリアルで、フラックさんの周りには、スコッチテリアやアヒルがいたのかもしれないと思わせられますね。


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