イチ押し絵本情報

生とは、死とは、葉っぱの一生に重ね語る(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.158)

2017年11月16日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 生とは、死とは、葉っぱの一生に重ね語る

今回ご紹介する絵本は、米国の哲学者レオ・バスカーリアさんによる『葉っぱのフレディ―いのちの旅』。1988年に日本で紹介されたミリオンセラーです。

春に芽吹き、冬に散っていく葉っぱのフレディ。命と自然をフレディの一生に例えて教えてくれる優しく力強い絵本です。私たちはどこから来て、何をし、どこにいくのか? 葉っぱのフレディと親友ダニエルをとりまく環境やできごとから、多くのことを考えさせられます。

見開き

この春、大きな木の梢に近い太い枝に、葉っぱとして生まれたフレディ。数え切れないほどの葉っぱと共に育ち、春風に踊り、夕立に洗ってもらい、夏の強い日差しには、身を寄せて影をつくり人間に木陰をつくってあげました。秋が来ると、葉っぱ達はそれぞれが違う色に紅葉しました。そして、冬が訪れると、親友で物知りのダニエルが言いました。「みんな 引っこしをする時がきたんだよ」。

自然の摂理に従って一生を過ごすフレディ達。フレディの思いや疑問に対して、ダニエルは導くように教え、語りかけます。作者のレオ・バスカーリアさんは、アメリカの哲学者。ダニエルは、作者の哲学の語り手でしょう。

秋になり、葉っぱがすべて違う色に紅葉したことを不思議に思ったフレディに対し、「いる場所がちがえば太陽に向く角度がちがう。風の通り具合もちがう。月の光 星明かり 一日の気温 なにひとつ同じ経験はない」。だからみんな違う色に変わると話します。

冬の厳しい風にさらされ、次々と落ち、おびえる葉っぱ達に対して、「ぼくたちは ひとり残らず ここからいなくなるんだ」と伝えます。さらに死を恐れるフレディに対して、「でも”いのち”は永遠に生きているのだよ」と語るのです。

この絵本は、作者によって「この絵本を死別の悲しみに直面した子どもたちと、死について的確な説明ができない大人たち、死と無縁のように青春を謳歌している若者たち」に捧げられています。

死に直面する時、生に疑問を持つ時、命を見つめなおす時、「わたしたちはどこから来て どこへ行くのだろう。生きることはどういうことだろう。死とはなんだろう」という、編集者のことばとして掲載されたのと同様の根源的な問いが浮かぶのではないでしょうか。この絵本は、それに対して哲学者が導いた答えのひとつの形でしょう。

小さな子どもに読むには少々文章が長いですが、死とは、生とは、といった話題を、目に見える葉っぱの一生に例えたことで、子ども達にも受け入れやすくなっています。命について考える「種」として、心に落としてあげたい作品だと言えるのではないでしょうか。

<ミーテ会員さんのお声>
ほんのたまにだけど、お兄ちゃんが『葉っぱのフレディ』を読んでほしがる。何を感じているんだろう。何を思っているんだろう。そう思いつつ、いつも聞かずに静かに本を閉じています。私は、この絵本を読むたびに、子どもを産んで命をつないだんだなと思います。(4歳0か月の女の子と7歳0か月の男の子のママ)

今年105歳で亡くなった日野原重明さんが、この作品に感銘を受け、ミュージカル化の企画と原案に携わったことは有名です。その脚本と随想を、『「フレディ」から学んだこと―音楽劇と哲学随想』(童話屋)で読むことができます。


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