イチ押し絵本情報

真っ赤ないちごにまつわるファンタジー(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.119)

2017年2月16日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 真っ赤ないちごにまつわるファンタジー

今回ご紹介する絵本は、わたりむつこさんの文、中谷千代子さんの絵による絵本『いちごばたけのちいさなおばあさん』。1973年に月刊絵本「こどものとも」の一冊として発行され、その後1983年に「こどものとも傑作集」として市販本化されたロングセラーです。

いちご畑の土の中に、小さなおばあさんが住んでいました。おばあさんの仕事は、いちごの実がなると、いちごに赤い色をつけて歩くこと。ある年、春はまだずっと先だというのにぽかぽか暖かく、雪の代わりに雨が降り続いたことがありました。いちごが青々とした葉を広げているのを見て、おばあさんは慌てて準備にとりかかります。さて、いちごは無事に赤くて甘い実を実らせることができるのでしょうか?

見開き

知らないところで小人がせっせと働くお話というと、グリム童話の『こびとのくつや』が有名ですが、このお話の小人は働き者のおばあさんです。

おばあさんは土の中にひとりで暮らしていて、地下のトンネルの奥から湧き出る水を汲み上げて地上に運んだり、土の中の緑の石を掘り出して砕いたりと、力仕事もすべてひとりでこなします。そして、独自の調合でつくりあげた赤い水を刷毛につけて、大きないちごを一つひとつ、丁寧に染めていくのです。その仕事ぶりはまさにプロフェッショナル。働くことの喜びが伝わってきます。

季節外れの大仕事をやり遂げたおばあさんは、森の仲間達のうれしそうな声を聞いているうちに、大きないちごを抱えたままうとうとと眠ってしまいます。幸せな夢を見ていてほしいな、と感じさせるラストです。

<ミーテ会員さんのお声>
風邪気味の次女がお昼寝の前にリクエストしてきた本。この本、私も小さい時好きだった。いちご畑には、ほんとにこんなおばあさんがいると思ってた。長女も次女も大好きで、もう何回読んだかわからない。いちご大好きな三女もきっと、この本が好きになるだろうな。おいしそうないちごの絵に食いついてたし。(7歳2か月、4歳9か月、1歳2か月の女の子のママ)

子どもも大人も大好きないちご。ファンタジーとはわかっていても、真っ赤ないちごを見るたびに、小さなおばあさんのことを思い出す、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。『かばくん』でおなじみの中谷千代子さんの絵が、子ども達をやさしく空想世界へと誘ってくれます。


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