イチ押し絵本情報

おならの音、思わずリズミカルに口ずさむ(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.118)

2017年2月9日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 おならの音、思わずリズミカルに口ずさむ

今回ご紹介する絵本は、谷川俊太郎さんと飯野和好さんの『おならうた』。2006年に出版されて以来、多くの親子を笑顔にしてきた人気作です。

「いもくって ぶ」「すかして へ」「こっそり す」…。子ども達が大好きな、おならの絵本。読んで楽しいリズミカルな文章と、迫力ある絵で描かれるおならの数々。親子のコミュニケーションにぴったりの絵本です。

見開き

「おなら」は、出てきただけで子どもは大爆笑、同時に大人は思わず眉をひそめる、インパクトの強いことばです。それだけに、イメージが固定されていて、ともすると下品になりがち。そんなおならが、思わず口ずさみたくなるようなリズミカルで洗練され、同時にクスッと面白く表現されているのが、『おならうた』です。
 

「ぼ」「ば」という濁音のもつ、音の大きさ、勢い。「す」「へ」という清音は、音の静かさと笑ってはいけないような状況を思わせます。「ぽ」「ぷ」などの半濁音の思いがけなく出てしまったユーモラスな印象。おならのもつ愉快さと破壊力が、的確なことばで差し出されています。

この絵本の『おならうた』に載っている詩ですが、もともと谷川俊太郎さんの『わらべうた』に収録されている詩「おならうた」に、飯野和好さんが新作を加えて絵本にしたものだそう。「わらって ぴ」などは、飯野さんの実際の体験から生まれたんだとか! 普段はなかなか大笑いをしない大人達が手放しで笑っているシーンは、きっと飯野さんにおならのパワーを感じさせた瞬間だったのでしょう。

谷川さんのことばの洗練に対し、リアルで迫力のある飯野さんの絵、という振り幅の広さも作品の大きな魅力です。飯野さんの描くおならは、実に臭そう! どのページにも描かれた、もわっとした黄色いもやと、臭いを察知した周辺の人の絶妙な表情。おならをしている状況が丹念に描かれていて、読み手の思い出を刺激し、思わず一緒に顔をしかめたくなる(あるいは赤らめたくなる)のです。

<ミーテ会員さんのお声>
夜の読み聞かせタイムで、お気に入りの『おならうた』を開くと、娘が先に「いもくって ぶ!」と言うので、私は口をつぐんでページをめくったら全て読んでくれた。しかも、毎ページ語尾のおならの音を言いながら布団にズッコケてくれる(笑) 体張って読んでます。借りてきて1週間の本だけど、もう憶えちゃったのね!(2歳3か月の女の子のママ)

谷川俊太郎さんは、長く朗読を続けています。そんな中子どもに人気で「必ずウケる」と言うのが、この『おならうた』。ぜひ、お子さんにも読み聞かせて、一緒に楽しい時間を過ごしてくださいね♪

▼谷川俊太郎さんのインタビューはこちら
「言葉はスキンシップ 子どもを膝に乗せて絵本を読んで」
(『おならうた』についての話はインタビューの後編)


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