イチ押し絵本情報

おくびょうな豆太が見たモチモチの木(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.106)

2016年11月10日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 おくびょうな豆太が見たモチモチの木

今回ご紹介する絵本は、斎藤隆介さんと滝平二郎さんによるミリオンセラー『モチモチの木』です。

猟師のじさまとふたり暮らしの豆太は、5歳になっても、夜中にひとりでトイレに行けないおくびょう者。ある晩、腹痛を起こし苦しむじさまのために、豆太は…。孫を見守るじさまのやさしさと豆太の勇気を、美しい切り絵で描いた名作絵本。

見開き

「まったく、豆太ほどおくびょうなやつはない」。独特のテンポで、いきなり物語の核心に入る言い切り型の語り口。続いて、今の子どもには耳慣れない「セッチン(お手洗い)」という言葉。最初の1、2文を読んだだけで、一気に物語の世界へと連れ去られます。

『モチモチの木』は、民話風の語り口や切り絵で一見昔話のようですが、1971年に出版された斎藤隆介さんによる創作民話です。素朴な語り口、朴訥な登場人物に乗せて、たくまずして、物語のメッセージが読み手の心に直に伝わります。

最後にじさまが豆太に語る「にんげんやさしささえあれば」ということば。斎藤さんはあとがきで、絵の滝平二郎さんについて「人間のすばらしい行動の底には、やさしさこそが金の発動機(モーター)になっていることを、私と同じに信じて疑わぬ人なのだ」と語っています。同時にこの作品自体を語る言葉として、これ以上のものはないと言えるでしょう。

じさまや豆太のやさしさと勇気と共に物語をけん引するのは、火がともった「モチモチの木」です。モチモチの木とは、実際はトチの木だそう。文中で実を粉にして餅にするシーンでわかるように、生活に根付いた身近な木です。それが荘厳なまでの美しさを持つのは、滝平さんの切り絵の力。小さい子どもに読み聞かせるには少し長いお話かもしれませんが、詩情豊かで力強い絵は、きっと子どもの記憶に深く刻み付けられることでしょう。

<ミーテ会員さんのお声>
『モチモチの木』を長男が幼稚園から借りてきました。私自身、母に読んでもらった思い出深い本のひとつです。長男は豆太と同じ5歳! まだまだ甘えん坊で、家の中のトイレなのに夜はついて来てと言われます。

帰宅するなり「読んで」と頼むので、弟達が昼寝している横で読みました。長男は真剣に聞いてくれました。私の方は、お医者さまを呼びに行く所から涙とまらず…。(5か月、2歳10か月、5歳5か月の男の子のママ)

斎藤さんと滝平さんによる絵本と言えば『花さき山』も同じくミリオンセラーとして世代を超えて愛され続けています。ロングセラー&名作ピックアップでもご紹介しているので、参考になさってください。

 ◆「やさしい心が咲かせた美しい花」(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.59)


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