イチ押し絵本情報

「お月さまとって!」父と娘の美しいファンタジー(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.96)

2016年9月1日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 「お月さまとって!」父と娘の美しいファンタジー

今回ご紹介する絵本は、『はらぺこあおむし』でおなじみのエリック・カールさんによる『パパ、お月さまとって!』。1986年に日本に紹介された、上下左右に広がるしかけがユニークなロングセラーです。

お月さまと遊びたいモニカが、パパにお願いしました。「パパ、お月さま とって!」そこで、パパはながーいながいはしごを持ってきて、たかーいたかい山へ運んでいって、上へ上へと登っていったのです。

見開き

月が近くに見えて「お月さまとあそびたいな」「お月さまとって!」というのは、世界中のあちこちの家庭で子どもが口にしてきた言葉でしょう。「無理」「ダメ」という言葉の代わりに、2児の父でもあるエリック・カールさんは、月に届くほどのながーいはしごをもってこよう、と答えます。父と娘の間に通うファンタジーが、実に美しい絵本です。

以前、ロングセラー&名作ピックアップで紹介した『はらぺこあおむし』に見られるように、カールさんの作品は鮮やかな色が特徴。しかしこの作品は、月夜を表す青が基調の落ち着いた印象です。そんな中でも夜空や月の青は、彩度や明度、濃淡で様々な表情を見せ、色とりどりの青と言いたくなるように豊かに表現されているのは、色彩の魔術師の真骨頂とも言えるでしょう。

また、しかけがユニークな絵本でもあります。『はらぺこあおむし』では、ページに穴をあけたカールさん。『パパ、お月さまとって!』は、絵本の枠を文字通り上下左右に超えた作品です。月に届くほどのはしごの長さ、山の高さ、月の大きさ。子ども達は自分でページを広げ、長さや高さ、大きさを感じることで、より絵本体験を深めていきます。

そして最後の見返しには、大人になった娘さんと肩を抱き合うカールさんの写真。月の絵本として定番の作品ですが、父娘を描いた作品としても愛され続けているのは、この写真のような父娘の関係に憧れる気持ちがあるからかもしれませんね。

<ミーテ会員さんのお声>
壮大な上に、父娘の愛が溢れていて、私が大好きな絵本。
先日、娘に初めて読んであげました。最初から真剣に聞いてくれて、ながーいハシゴの仕掛けに興味津々になり、パパがお月さまに到着して、でっかいでっかいお月さまが現れたら、わぁ~~って顔をした。そして突然、「たーーっち!」と言ってお月さまの絵にタッチ! そして、だんだん欠けていく月全部にタッチしていった。モニカのように、お月さまと遊んでいるみたい♪ ママも娘も、エリック・カールさんの魔法にかかった気分です。 (1歳7か月の女の子のママ)

通常サイズ以外に、持ち運べるボードブック版や、月の大きさが大迫力のビッグブックもあります。図書館などでぜひ見てみてくださいね。


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