イチ押し絵本情報

ちょっぴりズルくて愉快な11ぴきのねこ(ロングセラー&名作ピックアップ Vol.70)

2016年3月3日

毎週木曜日は、ママ世代にとっても懐かしい、世代を超えたロングセラー&名作絵本をご紹介します。

 ちょっぴりズルくて愉快な11ぴきのねこ

今回ご紹介するのは、馬場のぼるさんによる名作『11ぴきのねこ』。1967年に刊行され、親子2世代に愛されて145万部を突破したロングセラーです。その後約30年に渡って出版された「11ぴきのねこ」シリーズ全6冊の第1作目。

いつもおなかがぺこぺこな11ぴきのねこ。大きな魚をつかまえようといかだで海に出かけます。悪戦苦闘の末、11ぴきのねこが考えた作戦とは…ちょっとずるがしこくて愉快なねこたちのユーモアたっぷりの絵本です。

見開き

まずこの絵本の最大の魅力は、ねこ達のキャラクターでしょう。しましま模様のとらねこ大将と、親兄弟ではないらしいが姿かたちがそっくりなねこが10匹。いずれも好奇心にあふれ、エネルギッシュ。時にずるかったり欲深かったりしますが、なぜか憎めない愛嬌があります。

そんなねこ達が怪魚と戦う冒険物語が、テンポよく始まります。が、戦う理由は「大きな魚なら、おなかいっぱい食べられる」であったり、戦いの重要なカギが子守歌であったりと、物語はいつもどこか間が抜けて、とぼけた雰囲気。ねこ達が一生懸命戦うほどに、おかしみが増してきます。そして何よりもオチの、説明抜きで描かれた、見開き一面の魚の骨の絵。このシーンに至って、子ども達はお腹を抱えて大笑いし、「もう1回」と頼んでくることでしょう。


作の馬場のぼるさんは、手塚治虫さん、福井英一さんと共に「児童漫画界の三羽ガラス」と呼ばれ人気を博した漫画家です。『11ぴきのねこ』の初版時の「作者のことば」に、「『11ぴきのねこ』は、ほのぼのともしていなければ、心あたたまりもしませんし、教訓もなければ勧善懲悪のお話でもありません。怪魚は悪者でないにもかかわらず、ねこたちの餌になってしまいます。しかも、このことは、ねこの側からすればハッピー・エンドです。さて、みなさま方に、ねこの喜びが伝わりましたならば、こちらもまことにハッピーであります」と、ユーモアたっぷりの言葉が紹介されています。子どもの本は、まず面白くなくては、という馬場さんの思いが伝わる言葉です。

<ミーテ会員さんのお声>
私が読む前に誰かに読んでもらっていたみたい。表紙を見ていた娘が「シマシマいないね?」と言い出した。

それで表紙の立っているねこを数えてみたら10ぴきしかいない。「あれ?」と思っていると「あ、寝てるんだった♪」といいながら背表紙を見せてくれた。そこには寝ころぶシマシマのねこ! 娘の記憶力と作家さんの茶目っ気にに思わずにっこり。(2歳1か月の女の子のママ)

こぐま社の創業50周年記念して、展覧会「50年のあしあと展 もっかい読んでにささえられて」が開催されます。3月18日(金)~4月10日(日)、10時~19時(入場は30分前まで、最終日は17時まで)。会場は、東京・銀座の教文館9階ウェンライトホール。

「11ぴきのねこ」シリーズのほか、「こぐまちゃん」シリーズなど、ロングセラー絵本を中心に、原画やリトグラフ、ラフスケッチなどが展示されます。特に、こぐま社特有の色別に描き分けられたリトグラフは、絵本の制作過程が見えるようで、一見の価値ありです。

▼こぐま社
http://www.kogumasha.co.jp/


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